月の見たモノ

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優しい人

時々母は私の事を父が褒めていると言う。
「ヒロは優しいよなぁ・・・ってお父さんが言ってる」
そう言う。

父が本当に私の事をそう言っているのかどうかわからない。
実際には単に母が言ってるような気もするけど、母は面と向かって「ヒロは優しいことをする」なんて言えない人だ。

母は老人であるけれど、老人扱いされるのが嫌い。
いつまでも若い人でいたいのだ。

だから「手伝おうか?」と声を掛ければ「できるわよ」と頑張ってしまう。それがわかってきたので、私は勝手に手伝う事にしている。

「やってあげるわよ」と言えばきっと「自分でできるわよっ」と、反発する。
黙って「やらせてもらいますよ」とやってしまえば、黙って従うのだ。

今日のランチは自然食のバイキングに出掛けた。
母に「これおいしそうだよ。これは山菜だってよ」と、声を掛けると「あら、いいわね」などと言って選んでいる。

こんなふうに何気なく説明すれば「へぇ~」と聞くけれど、何も声を掛けないと
「こういう所は何食べていいのかわからないわね」と、へそを曲げる。

「何飲む?」と聞けば「わからない」と言うので、勝手に「これ、お茶ね。ごはんもあるんだって。少し食べる?」と声を掛ければ「少し食べようかな」などと応える。

やってあげるから!という態度だと、嫌がるけれど、何気ない誘導には従う。きっと年寄りっていうのは年寄り扱いされたくないんだろう。

温泉で立ったまま着替えてヨロヨロしているので「ほら、椅子後ろに置くから座ったら楽よ」と椅子を差し出すと、「あ、どうもありがとうございます・・・」と、妙に他人行儀なあいさつをした。

母がボケたのかと思って一瞬ひるんだ。
「やだ・・・何他人みたいな言い方してんのよ」と笑うと
「あ、ヒロか。他人様かと思った・・・」と、笑う。

こんなふうに、少しずつ手を貸していかないといけないんだろうなと思う。
いつの間にか母は老人になってしまった。いくらヒールの靴をコツコツいわせていたって、やっぱり老人なのだ。

「ヒロは優しいってお父さんが言ってる」そんな言葉も私には不思議に聞こえてくる。
母は気付かないだけで、充分に人の手が必要になっているのだ。
その手を貸したからといってそんなの「優しさ」なんかじゃない。

目の不自由な人に手を貸すように、重たい荷物を一緒に持つように、当たり前のこと。
私ができることは、誰にでもできること。簡単なこと。

ただ、そんな私に「優しい」と言ってくれることに感謝だ。ありがたいこと。
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by syu1212h | 2013-02-26 18:48 | 日々の事